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コラム-アメーバ経営-

経営会議の運用について①

はじめに
 経営会議は、アメーバ経営の活動の中でも、最も重要な活動であると言えます。裏を返せば経営会議が活性化している企業は、アメーバ経営そのものが素晴らしく成功しているとも言えます。
 今回より3回にわたって「経営会議の運営」というテーマで、その運用ポイントについて、私自身がこれまで京セラで経験してきたことや、コンサルティング導入企業様での経営会議に参加してきた中で感じたことを中心にご紹介します。

経営会議の目的について
 経営会議では次の5点を目的としています。
1.トップポリシー(経営方針・経営計画・考え方等)の周知徹底
2.経営数字の理解を深め、採算を向上させる方策や考え方を学ぶ
3.各アメーバリーダーが自部門の目標・指標を明確にし、反省と夢を語る
4.アメーバリーダーの意思統一(ベクトル合わせ)を図る
5.経営者マインドを持ったリーダーの育成

経営会議の心構え
 まず、経営会議に臨むリーダーの心構えとしては、経営会議は、トップとリーダーが会社をいかにしてよくしていくかを全員で考える場であると認識し、事実をありのままに報告します。また、一つでも多くのことを学び取ろうという前向きな姿勢が何よりも大切であると言えます。
 悪い報告は、どうしても言い訳をしたくなるものです。しかし、リーダーにまず考えていただきたいことは「事実に基づかない判断を経営トップにさせて意味があるのか」ということです。「精一杯取り組み、知恵を出し切った。だから、他にいいアイデアがあれば教えてください」という素直な気持ちで臨むことが非常に大切なのです。
 また、自分の発表しか考えていない人は、経営会議の日はおおよそ0.5時間しか仕事をしていないことになります。しかし、他のリーダーの発表や社長様のアドバイスの中から、何か一つでもつかもうとしている人にとっては、1日8時間フル稼働です。そこで、既に時間当り付加価値の高い仕事をしているかどうかの差が出てしまうのです。このような観点で振り返り考えることにより「どうあるべきか」を再認識することが大切なのです。

経営会議を充実させるための取り組み
具体的にどのような取り組みを実践していけばよいのかを列挙します。

    〔1〕リーダーの取り組み
  • 課題事項について責任をもって解決を図る
    指示事項、懸案事項があるということは、解決の糸口や、不具合事項の再発防止の方法が見つかったということである。
  • 他部門の発表を参考にし、自部門の経営に活かす
    他部門に対する質問を自部門に当てはめるとどうなるのかなど、今日の会議で学び取るポイントを絞る。
  • 会議の内容を部門員にフィードバックする
    会議で経営トップが述べたことを職場に持ち帰り、メンバーに話してこそ、初めてトップポリシーの徹底が図られる。
  • 予定発表にウエイトを置く
    実績の説明は、次月以降に活かせる内容を中心に発表し、予定をどこまで見える状態で考えているかの検証に時間を掛ける。その割合の目安は、実績3:予定7である。
  • 会議の前に分からないことは全て確認しておく
    目標の達成・未達成に関わらず、自部門の採算表の内容は全て説明できるようにしておく。必ずしも発表する必要はないが、全てを知っておく意志が大切である。自分の通帳と同じ感覚で採算表の中身を理解しておくことである。
  • 必ず発表練習を行う
    ポイントをまとめた発表が、経営トップや他部門のリーダーから有益なアドバイスや質問を引き出し、会議の時間当り付加価値を向上させる。
    〔2〕経営トップの取り組み
  • 夢・目標・ビジョンは、経営トップが示さなければならない。
    開会・閉会のコメント、質疑、アドバイスを通して、「会社の目指している姿」「リーダーの心構え」「目標達成の使命感」「思い」を熱く語ることが大切である。
  • 年度計画や採算予定の完遂について、
    「目標が実現するまで仕事をする」責任感を植え付ける
    『目標が実現するまで仕事をする』には、二つの意味がある。一つ目は、目標を達成するまで、できる限りの努力をするよう促すことであり、二つ目は、予定立案の段階で、目標達成への道筋がどこまで見えているかを検証することである。
  • 発表を通して、リーダーとしてのあるべき姿を指導する
    リーダーの考え方や取り組み姿勢は、発表や言葉に表れるものである。数字の裏側にある考え方や取り組み姿勢を把握し、あるべき姿を明確にして指導を行うことが重要である。
  • 全員の知恵や力を経営に活かす
    発表内容に関連する部門のリーダーや消極的なリーダーに発言の機会を与え、リーダーの参画意識を高める。時には、経営トップ自らが意見を求め盛り上げることも必要である。
  • 経営指標を時間当りに絞る
    経営トップが頻繁に「時間当り」を口にするようになれば、自然と共通指標としての認識が会社全体に定着し、同時に時間当りをベースに経営を考える風土が築かれることとなる。また、なぜ「時間当り」なのかを繰り返し話すことも必要である。
  • 日常のフォローの必要性
    会議の報告のみで判断しようとするのではなく、日常的に採算状況についてコミュニケーションを取る。従業員がどのような姿勢で仕事に取り組んでいるのかをよく見ておく必要がある。
  • 部門採算だけでなく、全社採算表の数字を発表し意識させる
    全てのアメーバが会社を支えているという意識付けが大切である。「自部門は予定を達成しても、部全体が未達ならば、自部門はさらに高い採算を上げる必要がある」というような認識が当たり前と思える指導を行う。

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筆者プロフィール

【画像】松井 達郎

エグゼクティブコンサルタント
松井 達朗 (Tatsurou Matsui)
1985年京セラ入社。1993年にコンサルティング部門に異動。製造業をはじめ多くの業界に対して豊富なコンサルティング経験を持ち、2011年よりJALグループへの部門別採算制度導入プロジェクト総括責任者としてプロジェクトを率いる。現在ではアメーバ経営コンサルタントの育成にも力を入れている。


※出典:アメーバ経営倶楽部会員情報誌「アメーバ経営倶楽部」<合本>Vol.1-8
※記載情報は発行当時のものです。ご了承ください。