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コラム-アメーバ経営-

経営会議の運用について③

経営会議での指導ポイント
 リーダーが経営者感覚を身に付けるに当たっては、経営トップの考え方や体験談を聞くことが大変勉強になるものです。部門経営者として甘えを排除して、自信を持って活動するためにも、経営トップからの直接のアドバイスが有効となります。
 また、アメーバ経営は月次採算を中心に数字を捉えていきますが、毎月努力を積み重ねたその先には、どのような素晴らしい状況があるのかを意識しながら活動することが大切です。赤字の部門であれば、いつまでに黒字にするのか、その時に自分の部門はどれだけ活気に満ちた職場になっているのか、このようなことをリーダーは日々考えながら、月次予定を立てて、実行していくことが求められます。同時に経営トップは、数字の裏側にある各リーダーの考え方や行動心理を見抜き、適時チェックし指導していくことが必要です。
 さらに、リーダーが思い描く夢や目標のベクトルが、会社が目指すものと合致したものであるかどうかを会議の中で確認していくことも大切です。
 これは、個の力を結集したものが、組織全体として、上手く調和して会社全体の大きな力としていくためには大変重要なポイントとなります。このことを常に意識していただき、その観点で質疑を行っていただくことが望まれます。

経営会議を活性化していくために
(1) 夢の実現のために仕事をしている
 現在、厳しい中で高い目標にチャレンジしていることは、まさに経営理念や夢を実現したいからという「思い」があるからだと思います。だからこそ、アメーバ経営では、その思いを共有していくために、夢や希望の状態を時間当りに表していくことを重要視していると言えます。
 経営トップには従業員に夢を与える役割があります。そのためには、まずは企業の全体像を知らせなければ始まりません。もし業績がよくなくても、その現状から説明することが夢を語ることにつながるはずです。夢や希望に向かい全員が一致団結して仕事をする会社にしていこうということを、経営トップ自らが従業員に語り、共鳴してもらうことに時間とエネルギーを掛けていただきたいと思います。
 同時にリーダーの方々には、以下の使命を十分に認識しながら仕事に当たることが必要ではないでしょうか。

①業績を上げ続ける
業績向上に向けてのリーダーの「思い」を明確に打ち出し、メンバーの知恵と力を結集していくこと。
②人を育てる
自分の業績を上げるために、部下を使うのではなく、絶えずメンバーの育成に心掛け、部下や組織のために自分を使う。
③よい性格を備えた集団を残す(組織づくり、しくみづくり)
時を告げるのではなく、時計をつくる(コリンズ、ポラス『ビジョナリーカンパニー』)。
ビジョナリーカンパニーとは、独自のフィロソフィを継承し、50年以上その業界のトップリーダー企業であり続けている会社のことを指します。そのため、ビジョナリーカンパニーの特徴は、その会社としての正しい判断基準、道徳を継承していくことを最重点においています。
時を告げるとは、経営判断を都度経営者が指示することであり、時計をつくるとは、いつでも正しい経営判断ができる組織をつくり、フィロソフィを継承するための努力をすることです。前者は、その経営者がいなくなれば、たちまち判断基準を失い、力を落としますが、後者は、経営者が代わっても、同じ判断基準、フィロソフィを継承することで、成長発展を継続できるのです。

(2) 「経営の修養道場」から「人生の修養道場」へ
 経営会議の場が、単に業績をどのように向上させるかの議論に止まらず、人としてどう判断するべきか、人生にとって、どのように考えるべきかを考える場として位置付ければ、大変意義のあることだと思います。だからこそ、厳しい追及のベースには、「あなたに成長して欲しい。あなたの能力を引き出したい」という思いやりの心が必要なのです。
 「追及」とは責任などを追い詰めることです。また「追究」とは学問などをたずね極めることです。これに対して「追求」とは、あるべき姿をどこまでも追い求めることです。
 何事にも努力はつきものですが、強いられた努力であってはその効力は半減するでしょう。人は自発的に努力する時、その能力は飛躍的に向上すると言います。だからこそ、事ある毎に「働くことの意義」というものを真剣に考え、成長していくことが大切なのではないでしょうか。
 人は、いくら世の中が物質的に豊かになっても、精神的な豊かさ、心の安らぎを得なければ、結局は満足できないものだと思います。つまり、働くということは、給料をもらうというだけではなく、働くことによって素晴らしい精神的な豊かさも得ていることなのです。
 このようなことを、経営トップが頻繁に話をしている会社は、実際、アメーバ経営の定着においても力強さを感じさせます。
 大切なことは、経営会議を活性化するための方法論(指摘事項)ではなく、アメーバ経営全体を活性化させていくことです。いわば経営会議での指摘事項は、日常のアメーバ経営がきっちりできているかを検証しているものと言えます。つまり本業と「アメーバ経営」が別々にあるのではなく、経営スタイルそのものが「アメーバ経営」となる風土を確立することが、最も重要なことになると考えます。


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筆者プロフィール

【画像】松井 達郎

エグゼクティブコンサルタント
松井 達朗 (Tatsurou Matsui)
1985年京セラ入社。1993年にコンサルティング部門に異動。製造業をはじめ多くの業界に対して豊富なコンサルティング経験を持ち、2011年よりJALグループへの部門別採算制度導入プロジェクト総括責任者としてプロジェクトを率いる。現在ではアメーバ経営コンサルタントの育成にも力を入れている。


※出典:アメーバ経営倶楽部会員情報誌「アメーバ経営倶楽部」<合本>Vol.1-8
※記載情報は発行当時のものです。ご了承ください。