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コラム-アメーバ経営-

組織体制の管理、組織変更におけるポイント①

はじめに
 アメーバ経営を健全に機能させ続けるためには、企業の成長発展や環境の変化に合わせて組織変更を行っていくことが大切です。そしてそれは、常に正しい考え方のもとに行われなければなりません。誤った考え方で組織を変えてしまい、結果としてアメーバ経営が上手く機能しなくなってしまうケースをお見受けすることがあります。
 そこで今回は、「組織体制を管理する上で、陥りやすい課題」と組織変更に関する「正しい考え方」についてお話をさせていただきます。

組織体制を管理する上で陥りやすい課題
 アメーバ経営を運用していく上で重要なことは、各部門の活動成果が正確に捉えられるとともに、各アメーバのメンバーの能力が最大限に発揮されているかどうかということです。そのためには、組織のあり方や体制が非常に重要であり、正しく機能していることが大きなポイントとなります。
 では、「組織が正しく機能しなくなる」とはどのようなケースでしょうか。
 往々にして、それは事業拡大による成長発展や環境の変化に対応していく過程の中で起こります。つまり、タイムリーに組織変更が行われない、あるいは適切に行われていないなどがそれに当たります。
 それぞれに対して考えられる要因や背景は、次のような点が挙げられます。

 組織体制を管理する上で陥りやすい課題
 (1)組織変更がタイムリーに行われていない
 (2)適切な組織変更が行われていない

(1)組織変更がタイムリーに行われていない

①アメーバリーダーの固定化
 組織を活性化する上では、リーダーの交代も有効な手段の一つです。当然、理由もなく、むやみやたらにリーダーを交代するのは論外ですが、リーダーの資質を持った方に、その能力を発揮するチャンスを与えることは事業の拡大を図る上で大切な取り組みであります。
 例えば、業績向上や組織内のマンネリ化などの課題を持つアメーバがある場合は、そのチームを率いるリーダーを交代させることによって、新たな展開が期待できます。もちろん、このように柔軟な変更ができない背景には、現行の人事評価制度上、給与に直接影響してしまうということがあります。
 しかし、現在の企業経営においては、いかに変化に対して素早く最適な組織体制を組むことができるかが、大変重要になってきています。また、能力ある若い担当者をリーダーに抜擢することも、組織を活性化する上で有効であると考えます。
 このような意味でも、アメーバリーダーの役割や使命を明確にするとともに、必要であれば現状の人事制度の見直しを行うなど、柔軟な体制が敷ける土壌を築く必要があると考えます。
②取り巻く環境の変化に対して、各アメーバ組織の機能や採算管理が実態と合わなくなってしまっている
 業容の拡大に伴い組織が大きくなると、アメーバを細分化し、機能を分けることでよりきめ細かな採算管理を行うことができます。しかし、その検討が行われていないケースや、反対に事業が縮小し他の部門に併合する必要が出てきているにも関わらず、その検討が行われていないケースが見受けられます。
 事業規模の拡大に伴い組織を細分化することは、前述①と同様、リーダーとして能力ある若い担当者にリーダーシップを発揮する機会を提供することにつながります。また、これからの事業の方向転換の必要性が出てくれば、2つのアメーバを統合するとともに、生産性を維持していくために最適な人員配置を考えなければなりません。
 経営環境の変化に伴って、適切な組織体制を検討・実施することは、組織としての活力を維持し、また新たな展開に結び付けることにつながります。

(2)適切な組織変更が行われていない
 次に組織変更は行われているが、適切な内容となっていないケースでは、次の事例が挙げられます。

①実績管理と十分に結び付いていない
 特に組織を新設して新規事業の立ち上げを行う場合には、そのアメーバの収入実績をどう捉えるかなど、ビジネスの流れを十分に検討して運用ルールを明確に取り決めなければなりません。また、実績集計などにおいても、新しい組織体制に現行システム(集計業務のフローなども含む)が対応できていないなどの理由で、タイムリーに実績が捉えられていないケースがあります。組織変更の頻度が高くとも、組織変更の手続きや実績を捉える仕組みや運用ルールが対応できていなければ、正しい経営数字が把握できなくなります。
 このようなことから、新しい組織を新設する際には、同時にどのように実績を管理していくのかを検討しなければなりません。また、組織の統合や分轄においても、どのように実績数字を振り分けていくかなど、社内における経営管理としての見解を明確にしておく必要があります。
②組織変更の内容が社内で正しく認識されていない
 組織変更の内容は、その目的と狙いが全社にタイムリーに正しく伝達されることが重要です。
 よく見られるケースは、変更に関わる方にのみ、その内容が伝達されているという事例です。全社員には数日経過してから、ようやく伝達される、あるいは正式な発表はなく、噂で知るといったケースもあります。組織変更がどのような狙いで行われるのか、何のためにそのような体制にするのかということを明確にすることによって、目標達成に向けて部門の枠を越えた協力体制が実現するのです。
 全従業員に組織変更の狙いをタイムリーに、正しく認識いただくためには、変更を行う時期(京セラでは組織変更および人事異動は、毎月1日と16日付けで行われています)と、変更内容を伝達する手段(組織表の発行など)を明確にし、確実に運用することが大切です。緊急時の場合であっても、組織変更の手続きは決められた時期とし、それまでは新所属となる部門への応援(時間移動で処理)対応を行います。
 つまり、誰の目にも全従業員の現時点での所属部門が明確な状態を保ち続けることが大切なのです。また、正式な変更時期を明確にすることは、異動手続きも行いやすくし、事務作業の効率化につながります。ぜひとも変更時期および変更内容の伝達方法を明確にされることをお勧めいたします。
③人に仕事がつき、組織としての動きになっていない
 組織変更に伴う人事異動の際、新組織に移っても旧組織で行っていた業務を行っているケースがよく見られます。つまり、本来他部門で取り組むべき役割までも担ってしまい、仕事の責任が不明確になっているケースです。
 これは、いわゆる人に仕事がつくという状態です。このような状態では、旧組織では別の部署に異動した人に依存して、本来自部門が担うべき業務を自部門の業務として責任を持って遂行することができず、業務の採算責任も曖昧となってしまいます。
 能力の高い方に業務が集中することや、特定の業務を中心となって遂行していた方にその業務がついて回ることは避けにくい課題ですが、本来その役割を担う部門が、他に依存し続けるような運用は改善しなければなりません。
 そのためにも、各部門で担うべき役割を明確にすることが大切です。また、その役割を果たす上でどのような人材が必要かを、経営会議などを通して継続的に伝えて人材育成を促すと同時に、その責任をリーダーが担っていることをしっかりと認識いただかなければなりません。


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筆者プロフィール

【画像】清水 宏治

清水 宏治 (Kouji Shimizu)
1990 年京セラ入社、約25 年間、80 社以上のアメーバ経営コンサルティング、および独自のERP システム「The Amoeba」の導入コンサルティングを担当。導入企業様へ継続的にコンサルティングを展開する中で、真の優良企業創出のためにアメーバ経営を支える人事制度の重要性を痛感。2014 年より人事コンサルティング部 部長に就任。


※出典:アメーバ経営倶楽部会員情報誌「アメーバ経営倶楽部」<合本>Vol.9-15
※記載情報は発行当時のものです。ご了承ください。