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コラム-アメーバ経営-

管理部門の課題解決のヒントを掴む
②マスタープランの効果的運用について

2.マスタープランの効果的運用について
 次にマスタープランの効果的な運用についてお話しいたします。
 マスタープランというのは年度計画のことです。一般的には予算という表現を用いますが、京セラでは予算制度という言葉は使いません。予算制度では経費は予算があるという意識から計画通りに使われますが、売上はなかなか計画通りにいかないということがありますので、予算制度自体を採用してこなかったのです。
マスタープランについてよくお聞きする悩みとしては、

  • トップダウンで現場にやらされ感がある
  • 前年比いくらに設定すればよいか判断に迷う
  • 経理や経営企画部門が主体となって作成しており、リーダーや中堅クラスの方がマスタープランを組んでいない
  • 社員への落とし込みが不十分
  • マスタープランをつくること自体が目的になってしまう
などがあります。
 マスタープランとは「目標の設定」なのですが、このことについて京セラの稲盛名誉会長は「目標設定の問題は人の心をどうするかという問題だ」と述べています。
 目標を設定しても、それが到底達成できないようなものでは皆やる気がなくなってしまいますし、だからといって下げるとどんどん下がってしまう。結局、前年比何%増しにしたらよいであるとか、トップダウンとボトムアップのどちらがよいのかという話ではなく、目標についてどういう気持ちになってくれるかが一番のポイントだということです。これは難しい問題で、稲盛名誉会長も目標の設定は永遠のテーマだと述べています。
 そう考えますと、目標設定においては、経営者がこうありたいと思う数字を持たなければならないのです。その目標に皆が向かって燃えていけるかどうかが目標設定の全てという話です。
 また社員全員が会社全体の状況、目指している方向と目標について知らされているということは、社内のモラルを高め、ベクトルを合わせるというためにも不可欠です。マスタープランの構築・運用では社員全員が自分達の目標だと思ってもらえるようにどうするのか、という点がポイントになります。

 京セラでは、マスタープラン構築は半年前からスタートします。3月末決算であれば、10月頃から来年のマスタープランについて議論、討議していきます。そこで大事なことは自己責任意識の醸成です。「社長から言われたから」ではなく自ら「やります」と発言してもらうためにどうするかです。
 そのためには、経営管理部門による推進とフォローが非常に重要です。京セラの場合は社長と計画を組むリーダーの間で経営管理部門が仲介役となり、各部門から上がってきた数字をまとめ、トップには問題点等を説明し、逆に提出部門に対しては方針発表に照らして内容確認のフォローをしていきます。
 こうしたことを繰り返しますと、幹部・リーダーの成長が3つの点で見込まれます。 まず1番目に、自分達の部門の将来を考えるようになります。次の目標や展開をどうするのかということであり、マーケットや競合他社の動向、自分達の商品展開などを自ずと意識するようになります。
 2番目に、自分の事業への思いを明確にして、皆に分かってもらうための工夫や努力を払うようになります。経営者と同じように自分の事業をどうしていくかを幹部・リーダー自身がメンバーに伝えていくという経験をすることとなります。
 3番目は、実際に誰がやるのかと考えて自分の部門のメンバーをどう育てるか、人材育成についてより真剣に考えるようになります。

3.幹部会議資料のグレードアップについて
 アメーバ経営と財務会計の連動が進み、またマスタープランも定着していくと幹部会の内容や資料自体も変えていく必要が生じます。
 マスタープランの進捗と達成への対策はどうなのか、残高管理、事業セグメント全体ではどうなのかと、より広い視野を持ってもらうために、幹部会の管理資料もグレードアップさせていかなければなりません。
 このように、管理のグレードアップをはかり、アメーバ経営を活用して全員参加の経営を継続・発展させていただくことこそが、経営力を高めることにつながります。こうした体制づくりを管理部門の方に推進していただきたいと思います。


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筆者プロフィール

【画像】清水 宏治

シニアコンサルタント
堀 直樹 (Naoki Hori)
1985年京セラ入社、1993年にコンサルティング部門に異動。社外へのアメーバ経営コンサルティング事業に従事し、コンサルタントとして、多数の企業のアメーバ経営導入に携わる。これまでに約50社の企業へアメーバ経営の導入コンサルティングを行う。2002年神戸大学MBA取得。
アメーバ経営学術研究会の事務局として、アメーバ経営の学術的な見地からの研究に携わる。現在は、コンサルティング新サービスの開発、コンサルタント育成支援などアメーバ経営の啓蒙活動に携わっている。


※出典:アメーバ経営倶楽部会員情報誌「アメーバ経営倶楽部」<合本>Vol.23-28
※記載情報は発行当時のものです。ご了承ください。